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ウエットクリーニングの工程

一般的なウエットクリーニングの工程を次に示します。
場合により前処理、色止め、浴中保護の工程は省略できます。

前点検



洗浄する時に形崩れ、色落ちなどの危険性があるのであらかじめ衣料の染色堅牢度、劣化、付属品、加工等について充分にチェックしておきます。

《チェック項目》

①サイズ

収縮し易いものの寸法を測定しておきます。
収縮することも伸びる場合もあります。

②染色堅牢度

色泣き、移染、脱色等の確認。洗浄する洗剤液を白ハンカチに浸して
染色部分を挟み色移りが無いか調べます。

③加工の耐久性

シワ加工等です。

④接着強度

コーティング、ラミネート、芯地等の接着衣料です。

⑤毛羽立ち、風合い変化

ベルベット、別珍等です。

⑥その他

衣料の素材、汚れ具合。素材がシルク、レーヨンであれば風合い、 光沢の変化があります。

補修

生地が劣化している部分は破れないように補修します。
ダウンジャケット注意です。

前処理

汚れが目立つ部分(襟、袖口等)は、濃いめの洗剤液を付けてブラシ等で前処理を行ないます。ゲンブバイオ前処理剤が最適。前処理後は10分以上放置してから洗浄するのが効果は上がりますが、逆に染色がにじむ場合がありますので注意が必要です。 また洗浄だけでは落ちにくいシミ部分は別途シミ抜きを行ないます。

前処理
色止め


濃色や染色堅牢度の弱い衣料は前もってゲンブ色止剤を用いて色止めをおこないます。使用濃度は水量に対して0.2%が標準で温度は30~40℃、3分、水位は中~高にします。素材としては綿が多いでしょう。汚れが強い衣料は色止めを行うことにより汚れが落ちにくくなります。

前処理
浴中保護

毛羽立ちしやすい衣料や、摩擦を抑えたい衣料は前もって浴中保護を行います。モノゲンケア等のシリコーン加工剤や油脂類を用います。 濃度0.1~0.2%、温度30℃、時間3分、高液位で処理します。
先に浴中保護剤を水に溶かしておいてから衣料を入れるようにします。処理後に排水を行い次の洗浄を行います。

洗浄

品物を入れる前に洗剤液を作った後、 浸漬し衣料全体の汚れを除去します。
温度は常温~40℃が望ましいです。
衣料が傷まないように注意し軽く押し洗いします。(手いが基本)
衣料の種類によってはワッシャーにてソフト洗浄します。
長時間の浸漬は色落ちの原因となるので注意が必要です。
(30分以内)
カラーストップL、モノゲンウォッシュ、モノゲンリッチなど移染防止剤、浴中保護剤入りの洗剤を用います。

すすぎ

汚れや洗剤分をすすぎ出します。水洗機の場合高水位が基本ですが、浸漬の場合はオーバーフローすすぎが効果的です。 軽く脱水しておくとすすぎ効果が良くなります。(脱水機使用なら15~30秒程度) 水洗機の使用の場合、水位が一定になるまで機械回転停止が望ましいです。

加工

柔軟加工、帯電防止加工、糊付け加工、撥水撥油加工等を行ないます。加工剤にはモノゲンケア、モノゲンフィニッシュ、ナノソフター、セッターα、ガードンガードがあります。濃度は加工剤の種類によって異なりますが、水で数倍に希釈して添加する方が斑付きは少ないです。時間は3分で染み込むように品物を押します。

脱水

出来るだけ短時間で行います。長時間脱水は移染の心配があります。 衣料は形を整え、シワにならないようにして脱水機で15~30秒程度脱水。 脱水終了後はすぐに取り出します。(湿潤移染防止の為) 薄地製品、添毛製品、合成皮革等危険なものは、タオルに軽くはさんで手押し絞りを行ないます。

乾燥

形崩れしないように形を整え吊り干しまたは平干しを行ないます。
乾燥はなるべく自然乾燥を行ないます。乾燥ボックス、乾燥室使用の場合もあります。 乾燥した後、タンブラー乾燥するとふっくらとして小皺も少ないです。品物により最初タンブラーで30%乾燥し、その後自然乾燥でもかまいません。
注)通常のウール製品をタンブラーで完全乾燥した場合は収縮します。

仕上げ

形崩れしたものはメジャー等で元の寸法に合わせながら仕上げます。裏側の縫い代部分が立っていることがあるので注意します。ウエット仕上げ専用機も発売されています。