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オイルの発火


エステオイルが付着したタオルを洗浄・乾燥しタンブラーならびにワゴンに放置しておきますと何時間か後で自然発火することがあります。東京消防庁の発表として、最近、東京都内のエステ店などで、マッサージ後のオイルを拭き取ったタオルが自然発火した火災事例(リネン火災)が増え、注意を呼びかけている旨、報道されました。ここ6年ほどの間に、26件も発生しているとのことです。マッサージに使用したアロマオイル(植物油)を拭き取ったタオルは洗濯され、後に乾燥機で乾燥されます。どうやら、この乾燥機による熱風で、タオルの温度が上昇し残留していた植物油分が酸化し、その際に生じる酸化熱が原因で、乾燥機から取り出し、洗濯籠などに詰め込んだ後に自然発火したようです。


1.発火原因

オイルによる発火はオイルが残留するリネンの温度が130℃を超えると時間とともに温度上昇し280℃前後になればリネンが自然発火します。オイルが酸化されるときに熱を出し、詰め込まれた状態では蓄熱が起こり、130℃を超えると酸化が急激に進み温度上昇が大きくなり、やがて綿繊維の発火温度に達する為に火災になります。以下のグラフは100℃の熱を持ったリネンがワゴン内で蓄熱し発火に至るまでの時間と温度の関係を示したものです。

油脂含有リネンの温度上昇線

したがってこの場合の火災は夜中に発生することが多いといえます。

2.発火の防止

発火を防止するには以下のいずれかの要因を 取り除くことが必要です。

① 余熱の除去

乾燥機により冷却(80℃以下)

②蓄熱の開放

綿繊維は熱が伝わりにくく蓄熱がおきやすい為、
ワゴンに山積みで取り置かずに広げる。特に帰社時は厳守。

③残留油脂の除去

通常の洗浄では充分に除去しきれない可能性があります。
高温で十分な薬剤量と時間をかけた洗濯で油脂分を除去します。

(洗浄条件の一例)

*温 度:80℃以上の高温で洗う。
*時 間:20分以上、できれば2回洗いが望ましい。
*洗浄剤:粉末洗剤を用いアルカリ剤も併用する。
  何れも負荷1kg当り10g以上使用します。