HOME > 技術情報 > 溶剤関係湿度について

溶剤関係湿度について

1.溶剤関係湿度とは

溶剤中の湿度についてはアメリカIFI研究所のFultonが研究・提唱し、溶剤関係湿度または溶剤相対湿度と呼ばれ、空気中の湿度と同様に溶剤の湿り度合いを表します。溶剤関係湿度はその日の空気湿度と同じになると言われています。ソープの働きで水を溶剤中に可溶化(透明溶解)出来る最大量を抱水能と言っておりますが、この時がおおよそ湿度75%であります。湿度75%が衣類に安全な範囲内で水溶性汚れが最も除去されやすい湿度です。この湿度の表示は絶対的な水分量(水分率)ではなく、溶剤の湿り度合であり、空気中に同量の水蒸気量があっても温度によって湿度が変わるように、溶剤中でも温度、ソープの種類、濃度によって同じ水分%でも溶剤関係湿度は変わります。過去より抱水能が高いソープを使用すると洗浄性が良いと言われたのは同濃度で含水量が多くなることからです。

2.水分管理の実際

溶剤関係湿度75%に保つことが重要との認識より湿度計搭載のドライ機や水分計が発売されました。しかしそれを用いても75%にキープするのがなかなか困難でした。衣類を入れてドライ機を運転すると水分が衣類に吸着され湿度が低下していったからです。
湿度は洗浄すると低下するので管理することが出来ず、言い換えるならば水分管理の必要性がなくなったとも言えます。しかし過剰水分があると溶剤が曇ったり白濁したりするので溶剤外観を常に観察することは重要です。

3.溶剤関係湿度の重要性

溶剤関係湿度75%は安全な範囲で最大限の水溶性の汚れを除去します。しかしながら関係湿度75%の状態で水溶性の汚れ(例えば醤油汚染布)を洗浄しても除去率は10%にも満たず、水溶性除去には不満な結果で当然シミ除去は困難です。水溶性汚れをドライ機で除去するなら、水によるダメージを受ける程度の水分の添加が必要です。その水分量は対溶剤で0.2%以上は必要と考えます。
溶剤関係湿度75%の水分量はソープによって違いますが、0.02~0.1%程度であり、この範囲の中で水溶性除去を論じても絶対的に低くてあまり意味がありません。  ところで石油溶剤は絶縁物質であり、また燃焼物質でもあります。そのような石油をドラムで動かすと摩擦により大きな静電気を発生させます。その静電気を緩和させるのがソープであり、更に可溶化された水分が更に低減させるのに役立ちます。そのことからすると溶剤関係湿度75%は重要な意味を持っていると思います。